転らぶ (なー。ひー。交換小説)

なな。と、ひひ。の二人で作っていく世界です。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

何もなくても笑える。

涙が止まる。 涙が止まると、本当に何もかも失くしてしまったような気がした。 ハルルンが心配そうにヒロを見ている。 ヒロは優しく微笑む。 「ごめん」 ヒロは、誰かに自分を見せることを嫌っていた。本当の自分を見せることが誰かを悲しませるような気がし…

空っぽな自分

空っぽだ。 奈々がいないと、空っぽだ。 どの世界にいても、どこにいても、奈々がいないなら、全てが無意味に思える。 空っぽだ。 ヒロは、立ち止まって空を見上げる。 空っぽだ。 空っぽなのに。 何故か涙が出た。 何もないのに。 自分でも止められない涙が…

孤塔からの脱出。

「ーー奈々!こっちからなら行けそう!」 クラゲはナナリアの部屋の窓から外を覗いていた。 ナナリアもクラゲの元へと駆け寄る。 どこまでも続く青に、際立って大きい入道雲の数々、目が眩むくらいの光に視界を遮られ、下を見ると、遥か下に薄ら地面が見えた…

十何年ぶりに再会した私たちは転生してもらぶらぶでした。

機械音が現代とは微妙に違う。擦れ合うような音がキラキラしていて、心地よい音色を奏でているようだ。どこかで魔法というものが混じっているからなのだろうか、ここは魔法が使えない人たちが集まってできた場所のはずなのに。 ヒロは、町を散策していた。初…

孤塔からの脱出。

怖いくらいの静けさを感じたことはあるだろうか。 先ほどまで、この場所で激しい戦いが繰り広げられていたとは思えないほどの静けさ。 焼けてしまった部屋の真ん中に、父からもらったうさぎのぬいぐるみが大半は焦げていたが、辛うじて原型をとどめ佇んでい…

恐怖の渦とその中心。

ーーパチパチと何もかもが焼けていく音がする。 悲鳴を含む血の匂い。 どこからかも分からなくなるような、無数の爆発音。 真剣な眼差しと怯える体。 その全てを感情のない炎が焼き尽くしていく。 ーー「…この世界を滅ぼす…?…私が?」 「…はぁ。まさかここ…

恐怖の渦とその中心。

どれくらいの時間が経っただろう。 気づけば奈々は、ベッドで寝てしまっていた。 ーーあたたかい。 まるでサウナのような、ヒリヒリする温かさだ。 ーーッ!ヒリヒリ!? 慌てて起き上がると、目の前には信じられない光景が広がっていた。 これも夢なのだろ…

転生した尋の朝

窓から太陽の光が差し込む。人影が窓を開ける。ささやかな風が肌に触れて、尋は目を開けた。 「ごめん、起こした?」 人影がそう言った。 尋は、疑うように、その人影を見る。誰だかわからない。 「ずっと締め切っていると、空気が悪くなると思って……」 申し…

恐怖の渦とその中心。

朝、目が覚めると、頭の痛みも、いつの間にかすっかり治り、視界も、どことなくスッキリして見えた。 「ーーくらげ…さん?」 ーー…夢? 昨日のことが、全て夢に感じる。 奈々は、昨日のことを思い出しながら、部屋の天井にある壁画を、ぼーっと眺めていた。 …

転生した尋の状況

(僕は、書けるときに書くつもりだけれど、あまり頻繁に更新できなくて、独りぼっちさを感じさせたくないので、ちょっと文章量は少なくなるかもしれないけれど、ちょこちょこと書いていこうと思います。) どうやら誰かの身体に入っているようだ。尋は、そう…

転生したけどどうなったの?

再びドアに鍵がかかると、奈々は一人またベッドに戻り思いっきり寝そべった。 「ーー尋に会いたい…」 尋と言う名を口にした瞬間、押さえていた涙が少しだけ頬を流れた。 ーー尋はどうなったんだろうか。 確かにあの時、ふたりで崖から落ちたはずだ。 私はこ…

転生したけどどうなったの?

ふと目を開けて、ベッドから体を起こすも、相変わらず頭が重い。 ひとつ溜息をつくと、奈々は、部屋を見渡した。 古いアンティークの家具で、全てが揃えられている。 一見、豪華そうに見える家具は、あまり手入れされていないのか、薄ら埃を纏っている。 一…

転生した尋のほうは

尋は気付くと、ベッドの上で横になっていた。 奈々の手から伝わる体温はまだ残っていたが、身体に違和感を感じる。起き上がろうとしたが、身体が言うことを聞かない。横になったままで、周りを確認する。 病室ではないようだ。 薄い青色の壁は金属みたいに鈍…

余談1 (マニア向けかも)

こんにちは。なな。です。 初っ端から句点が多くてすみません。 いよいよ、始まった『転らぶ』ですが、 『十数年ぶりに再会したふたりは転生してもらぶらぶだった』の略です。 ここで言うことかは分かりませんが。笑。 さて、とてつもなくベタベタな展開で始…

そして転生するふたり。

「結婚しよう」 尋の突然の言葉に、奈々は驚かなかった。 驚かない代わりに、目を潤ませながら、尋の方を見て、昔と変わらぬ笑顔で、無邪気に微笑んだ。 それを見て、尋も相変わらずだなと、困ったように優しく微笑む。 辺りは暗くなり、初夏の風は少し肌寒…

転生する前で、再会した時の僕からの

(ずっとこういう話を書き続けちゃうんで、ななちゃんが書きやすくなれるところまでは、ちょっと端折ります) 何回か直接会って、話をした。 君は、ずっと僕のことを好きだったと言った。色々あったけれど、僕じゃなきゃダメだ、と。 僕は、人生で一番君のこ…

転生する前で、再会した時の僕。

君からの反応は、僕の予想よりも早かった。 ちょっと話がしたいんですが。 君らしいな、と僕は思った。それに、あぁ君なんだな、とも思った。 僕の知っている君は、いつも突然で、いつも僕の想像の外にある行動を取ってくる。ほかの人が僕にそういう接し方を…

転生する前で、再会する前の僕

僕は、いつも通りの日常を送っていた。 若い時はそれなりに仕事を必死にこなしていた時もあったが、今はもう仕事を最優先にする生活をしていない。むしろ自分の時間を楽しんでいることのほうが大切になっている。 趣味的に始めた動画配信やSNSも、気分が乗ら…