転らぶ (なー。ひー。交換小説)

なな。と、ひひ。の二人で作っていく世界です。

何もなくても笑える。

 

 涙が止まる。

 涙が止まると、本当に何もかも失くしてしまったような気がした。

 ハルルンが心配そうにヒロを見ている。

 ヒロは優しく微笑む。

「ごめん」

 ヒロは、誰かに自分を見せることを嫌っていた。本当の自分を見せることが誰かを悲しませるような気がしたから。

「変なとこ見せた、ごめん」

 ヒロはそう言って、笑った。

 何もなくても、笑える。

 何もなくても、笑顔が作れる。

「大丈夫?」

 ハルルンが訊く。

「うん、大丈夫だよ。何も問題ないんだ」

 問題ないなんて思わなくても、問題ないと言える。

 できるだけ陽気に、心配させることのないように。