転らぶ (なー。ひー。交換小説)

なな。と、ひひ。の二人で作っていく世界です。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

力を使わぬものたち。

「うーん。でも、どうしようかな。」 脱出を目論むナナリアの独り言は、小さい声ながらも、閑散とした広い洞窟内では、それなりに響いた。 考えていると、不思議と向こうからチャンスは舞い込んでくるもので、その声が消えかけた時、何やら洞窟内を歩く、カ…

力を使わぬものたち。

ーーどうして。こんなことになってしまったのだろう。 薄暗い牢屋の中、ナナリアとクラゲは身を寄せ合い、隅っこの方で小さくまとまっていた。 檻には小さな小窓があり、その前に、パンと少し冷めたスープ、この村で採れたであろう野菜のサラダと、水の入っ…

薄い青色のそれ。

ふわふわと浮かんでいる。 目の錯覚かと思った。 ふわふわと浮かんで近づいてくる。 異世界ならこういうこともあるのかなと思った。 「その声は昨日聞いた声かな」 ヒロは冷めた口調で聞く。 「そうなのらー。昨日は飛び降りるかと思ったのらー」 淡い青色の…

できないことは不幸せなことなのだろうか。

望まなくても、目覚めるものだ。 何もなくても、世界が広がっていることはわかる。 世界が色あせていくように思えても、目が覚めれば、光を帯びた景色が見える。 ヒロロンという人物のことはみんなが知っているが、ヒロという人物については誰も理解できない…